wtp to profit
あなたは価値を決められない
企業が届ける製品やサービス。その価値は一体誰が決めるのでしょうか? 多くの企業は、自社が扱う製品やサービスの価格を自分で決定できると錯覚しています。
そのときにする間違った問いかけがこれです。

「これをいくらで売ろうかな」

しかし、企業は自身で価値を決めることができません。価値はお客さん(顧客)が決めるのです。 お客さんがあなたの企業の製品やサービスに、いくら支払いたいかが問題です。
本当に適切な問いかけはこうです。

「お客さんはいくらで買うか?」

これは、あなた自身も同じこと。
あなた自身がどれだけ「自分は素晴らしい人間です」と言ってみたところで、 相手が同じように感じなければ、あなたと相手との間で認識違いが起こります。

このときに、鍵となる考え方が「WTP(Willingness To Pay)」、 すなわちお客さんの支払意欲です。
ビジネスキーコンセプトとしてのWTP
WTP とは、Willingness To Payの略で、「お客さんの支払意欲」を指します。
これは、あなたの製品やサービスに対して、お客さんがつけてくれる価値のことです。
この WTP よりも価格が低ければ、お客さんに「お得感」が生まれるのです。

たとえば、「のどが渇いてスポーツドリンクを飲みたいときにいくらまで支払えるか?」が スポーツドリンクの WTP ですが、それが 200 円までなら喜んで支払えるというなら、150 円で販売されているスポーツドリンクはお客さんに買われていきます。

しかし、もしそれが 210 円で販売されているなら、まったく見向きもされない商品になるか、あるいは WTP が 210 円以上のお客さんにしか買われていかない、不人気 or マニアックな商品となるでしょう。
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プロフィット(利益)を生む
WTP を高めることが、お客さんの「お得感」につながり、ひいては売上増のカギになります。

経営学では、この「お得感」こそが、
「お客さんの取り分」として「顧客価値」と定義されているものです。

問題は「いかに WTP を高めるのか?」ですが、
同時に厄介な二つ目の問題に直面します。

「WTP を高めつつ、どうやって利益をあげるのか?」

魅力的な製品やサービスにしようとして、WTP を高めようとすると、
当然にコストがかかり、投資も必要になってきます。

マーケティングの世界の美しさを追求した結果、とにかく WTP を高めようとした結果、コストがかかりすぎて、損失を出すということもよくあるはなしです。

つまり、「お客さんは得した」が、「企業は損した」というパターンです。

ビジネスを成功に導くためには、このようなパターンが続いてはいけません。
ビジネスを続けていく上での制約条件は「利益を生むこと」だからです。

そこで、「お客さんの得」と「企業の利益」を両立する必要があります。
それを可能にするには、WTP にきちんと響くポイントでコストや投資を行うことです。

これがまさしく、ビジネスモデルの考え方です。

さきほどの例で言うならば、200 円の WTP(お客さんの支払意欲)を感じてもらえるスポーツドリ ンクを 150 円で売り(価格=150 円)、そこからいかに利益をいただくか?という考え方です。

このとき、企業が 90 円の利益が欲しければ、 このスポーツドリンクを 60 円で製造するか仕入れるか(コスト=60 円)しなければなりません。
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このような「顧客満足」と「利益の出る仕組み」といった、マーケティングや戦略論と、ファイナンスや会計の考え方を両立させて、ビジネスを考える仕組みが、ビジネスモデルです。

わたしはこのような分析レンズで、これからもたくさんの現実を見て、理論として体系化していきたいと思っています。
用事という新しい考え方
経営者が解決すべき未解決の用事を見極める
「お客様のニーズを拾え!」とはよく言う言葉ですが、現在、そのやりかたでは通用しません。
ニーズよりも、半歩先にある、「お客様の真の用事」をいかにして見極めるかが、 現在の経営を左右するポイントなのです。

クリステンセン=レイナーはこれを、job to be done と呼びました。
(著書の中では「片付けるべき用事」と、日本語化されています)

イノベーションへの解 イノベーションへの解

ひらたく言えば、用事とは、ニーズを生んでいるものです。
つまり、目に見えるニーズがなぜ生まれてきたのか? を考えることです。

つまりは、「お客様は何を欲しがっているのか?」

ではなく、「お客様はなぜそれを欲しがっているのか?」と思考を転換してみるのです。

そうすると、競合ばかり見てきたことに気付くかもしれません。

プロフィット、つまり利益の源泉はお客様

お客様はなにをしてほしくて、なぜ、そのお店、企業とかかわりをもつのか? それを考えて新しい商品やサービスを生み出していくことが、 不況で勝つことのできる唯一の方法かもしれません。

お客様の用事は 経済環境にかかわらずつねに発生しているのです。

このような議論は 1950 年代、もう 50 年以上も前から出てきます。

T.レビット マーケティング論 T.レビット マーケティング論